ネギ
特集


薬味から鍋物料理まで欠かせない野菜であるネギ。
トキタ種苗では、丈夫で育てやすい「森の奏で」、根深一本ネギと下仁田ネギのいいとこどりをした「なべちゃん葱」をはじめ、様々な品種を取り扱っております。
ここでは、そんなネギの品種や秋・冬ネギの栽培方法などを解説していきます。

  • ネギの紹介

    ヒガンバナ科に属する植物で、耐寒性、耐暑性ともに高く、乾燥にも強いので育てやすいです。
    ただし、根は湿害に弱いので注意が必要です。
    ネギは、葉身(緑葉)と葉鞘(白根)の部分に分かれます。
    葉身は、濃い緑色の部分で、葉の一部です。筒のような形をしています。
    葉鞘は、白い部分で茎のように見えますが葉の一部です。

  • ネギの分類

    ネギには、白い葉鞘部の長い根深ネギと、青々とした葉身部の長い葉ネギがあります。

    根深ネギ

    葉ネギ

    • 根深ネギ(長ネギ)

      白い部分を食べます。
      主に東日本で栽培されています。
      根深ネギは葉鞘部に光を当てないように土寄せをし、軟白させます。

    • 葉ネギ

      緑色の葉を食べます。
      主に西日本で栽培されています。
      葉ネギは日をたっぷりとあてて葉身部を青々と伸ばします。

  1. 苗づくり

    • 播種

      トレイの場合は、土を詰め、くぼみをつけて播き穴とし、1穴に3粒程度まきます。篩などでまんべんなく覆土します。
      培土は、「ガッチリくんネギ用」など専用培土が育苗期間を通じて肥料を供給しがっちりした苗に育てることができ、管理が容易です。

    • 潅水

      ネギの発芽には水がたっぷりと必要になります。セルトレイであれば、200穴のトレイ1枚に水1リットルほどを目安とするとよいでしょう。
      また、なるべく細かい目のハス口を使い、水の勢いに気を付けて潅水するようにしましょう。

    • マルチを用いた発芽促進

      ネギは発芽時の酸素要求量が少なく若干の嫌光性ですので、潅水後にマルチをすることが発芽に効果的です。マルチをすることで保湿ができ、発芽まで潅水しなくても問題なくなります。
      ただし、30℃を超えると異常発芽が増えるため、高温時のマルチの使用には注意しましょう。

      マルチがない場合は、土を乾かさない管理を心掛けましょう。

    • 発芽確認

      画像程度まで芽が出てきたら、マルチは剥がします。
      播種の4日後からの発芽の確認が重要となります。
      マルチの剝がし遅れは温度管理などに問題が生じる場合があるので注意しましょう。

    • 剪葉(葉切り)
      • 1回目の剪葉(葉切り)

        1枚目の本葉が伸びきり、2枚目が展開してきたタイミングで行います。
        日中に葉が垂れている時が、剪葉(葉切り)の適期となります。
        剪葉(葉切り)は垂れている分だけ切るイメージで行います。目安としては、草丈が6~7cmとなるように行います。

      • 2回目の剪葉(葉切り)

        定植適期となったタイミングで行います。
        剪葉(葉切り)は1回目よりも少し長めとなる、草丈が8~10cmとなるように行います。

    • 定植適期

      苗の草丈が20~30cmほどの大きさとなったら、定植が可能です。
      本葉の3枚目が伸びてきて、草丈が20cmほど、株元の太さが3~4mmほどとなったら定植適期です。
      剪葉を行い、定植しましょう。

    • 以下の動画では、播種から幼苗までのポイントを解説をしています。

  2. 定植

    • 畑づくり

      ネギを植える畑は、200穴のトレイ1枚であれば1畝で15m分の面積に植えます。畝幅は90~100cmほどを想定します。
      苦土石灰で、土壌pHを6.0~6.5に調整します。石灰は施肥する1週間前を目安に混和しましょう。
      200穴のトレイ1枚当たり、N-P-Kが10-10-10の10%肥料であれば400gを、畑全面に均等に散布します。その後、肥料を混和します。

    • 畝立て

      土寄せ作業を考慮すると、畝幅は90~100cmほどがよいです。
      深さ10cmほどで幅15cmほどの植溝を掘ります。

    • 植え付け

      苗は7cm(拳一つ分)ほどの間隔で溝に苗を立てかけます。
      7cm間隔で印をつけた定植目安棒を使うと簡単です。
      その後、根鉢がしっかりと隠れるように土をかぶせます。

    • 鎮圧

      土をかぶせた後に、手で押さえつけます。
      その後、足などで苗の際を隙間なくしっかりと鎮圧します。
      鎮圧後、定植前に畑にまいた量と同じ量の肥料を株元にまきます。

  3. 追肥・土寄せ

    溝の長さ
    1mあたり
    化成肥料 大さじ3杯
    油粕 大さじ5杯
    1. 第1回:土落とし

      植え付けから1ヶ月後ほどに行います。落とす土の目安は、ネギの首あたりまでです。
      追肥に関しては、元肥が十分であれば行いません。
      夏は無理にいじらず、様子を見ましょう。

    2. 第2回:土落とし

      1回目の1ヶ月後ほどに行います。
      2回目を目安に平畝にするようにしましょう。
      1回目と同様に、元肥が十分であれば追肥せず、また夏はいじらずに様子を見ましょう。

    1. 第3回以降:追肥・土寄せ

      首が出てきた頃に合わせて2~3回ほど土を寄せます。
      追肥は肩の部分に施し、土と混ぜながら寄せます。

    2. 最終土寄せ

      収穫に十分な長さが確保できたら行います。
      この時の土寄せでは、緑葉の合わせ目の上までしっかり土を寄せ、首元を締めるようにします。

    土寄せをする際の注意

    土寄せは太さを確保してから行いましょう。
    (無理な土寄せは、細くなったり、曲りが発生する原因となります。)

  4. 収穫

    軟白部を傷めないように注意して、鍬やスコップで畝の片側の土を削り、ネギの盤茎が見えるくらいまで掘り下げます。その後、軟白部をよく出してから手で抜き取ります。

  5. 栽培上の注意

    • ネギの生理的特性
      生育
      適温
      12~22℃
      土壌
      条件
      pH5.8~6.5
      浅根性で酸素要求が強く、排水対策の徹底が必要
      軟白 最適15℃,軟白期間(夏場:20~30日,冬場:30~45日)

      ※水と高温に弱いので注意

    • ネギ生育時の重要部位
      健康のバロメーター(色、光沢)
      品質(しまり)判定のポイント
      土寄せの目安(特に止め土)
      盤茎 根・葉分化伸長のポイント(重要部位)
    • ネギ坊主

      ネギの花つぼみ(花球)のことを、お坊さんの頭に見立ててネギ坊主と呼んでいます。秋に種まきしたネギの苗の太さが5~6㎜以上で、7℃前後の低温で冬を越すと、花芽分化が起こってとう立ち(抽苔)します。さらに日が長くなり気温も上がる春には花芽がグングンと伸びてネギ坊主ができます。
      とう立ちしたネギはかたくなり、香りや甘さも弱るため見つけたらすぐに摘み取るようにしましょう。