ズッキーニ 
栽培ガイド


夏野菜として近年需要が高まっているズッキーニ。
イタリア料理やフランス料理ではおなじみの野菜で、レストランで食べる機会も多い食材です。
トキタ種苗ではウイルス病に耐性がある「ゼルダシリーズ」、丸ズッキーニ「パリーノシリーズ」のほか、イタリアで人気のタイプを集めた品種も「グストイタリアシリーズ」で展開中です。
そんなズッキーニのおすすめ品種と作型別の栽培方法を詳しく解説していきます。

ズッキーニ品種紹介

ゼルダ・シリーズ

ゼルダシリーズは病気に強く、栽培しやすいのが特徴です。
各品種の詳しい特性はカタログや 栽培ガイドページ をご覧ください。

ゼルダ・ネロ

ゼルダ・ネロ圃場
ゼルダ・ネロ青果写真

果皮色は極濃緑色で、強風での茎の先折れの発生は殆どなく、葉、茎に刺の発生がないため非常に作業しやすいのが特徴です。

詳しい品種特性はこちらから

ゼルダ・ジャッロ

ゼルダ・ジャッロ圃場

艶のある濃い黄色の果皮が特長で、草勢はゼルダ・ネロより強く生育します。

詳しい品種特性はこちらから

ズッキーニの
播種~定植

圃場準備

堆肥

  • 良質な完熟堆肥を2kg/平方メートル、定植1ヶ月前に施用します。

元肥

  • 元肥はN:P:K=10g:15g:10g/平方メートルが目安です。
  • ※低度化成肥料なら100~150g/平方メートルが目安です。
  • ※ズッキーニは根域が狭いためマルチ下に施肥します。

高温期の注意点

  • 高温期はアブラムシ、地温抑制対策のため、白黒、銀黒マルチを利用してください。
  • ※定植5~7日前に土壌水分がある状態でマルチを展張します。
  • ※ハウス栽培の場合はマルチ内に潅水チューブを設置します。

播種~育苗

定植

〇定植適期のポット苗

播種

〇トレイでの育苗

播種

  • 発芽適温は25~30°Cです。
  • 播種前に十分潅水して土壌水分を確保します。
  • 深さは7~10mmを目安に行います。
  • ※圃場への直接播種する場合は地温25°Cを確保出来たら行います。補植用に20%程度の苗も準備しましょう。

育苗

  • 育苗適温は日中:23~24°C、夜間:16~18°Cで管理します。
  • 育苗日数は低温期:6~9cmポットで30日程、 高温期:50穴か72穴トレイで10日程です。
  • 本葉の見え始め~本葉1.5枚位が定植のタイミングです。
  • ※雄花を確保するために定植を7~10日間隔で3作程に分けると効果的です。
  • ※ゼルダ・ジャッロは初期の雄花開花が安定するため花粉用株として利用できます。イエロー品種の花粉をゼルダ・ネロに授粉しても収穫する果実はゼルダ・ネロのダークグリーンで収穫できます。

定植

条間

〇定植の条間の目安

条間・潅水

  • 条間180cm、株間80cmで定植します。
  • ※マルチ使用時は幅95cmで1条、幅135cmで2条で定植します。
  • 気温が低下する夕方に定植しましょう。
  • 苗の活着促進のため、定植前には植穴にたっぷり潅水しましょう。

定植後

  • 定植後はマルチ開口部から熱風が出て葉焼けを起こさないように土をのせてふさぎます。
  • 定植後にも株元へ潅水を行い、根をしっかり張らせます。
  • 施設栽培であれば遮光ネット(遮光率 30~40%)を利用すると定植直後の苗に直射日光が当たらず、マルチ内部の地温低下につながり活着が早まります。
  • ※圃場の周りへソルゴーを播いておくと、風による倒伏軽減や、天敵昆虫の増加によりアブラムシ、アザミウマ等が減少するメリットがあります。

ズッキーニの
栽培管理

摘果・追肥・草勢低下の目安

順調な草勢1

〇摘果後の草姿

順調な草勢2

〇順調な草勢の例

摘果

  • 最初の雌花2花は開花前に摘果して初期の草勢を強くします。
  • 形状の悪い果実等も早めに摘果します。

追肥

  • 追肥は収穫開始頃から行います。窒素成分を2g/平方メートル、7~10日間隔で追肥します。
  • ※液肥やNK化成で追肥します。NK化成なら10~15g/平方メートルを目安です。

草勢

  • 雌花開花節から生長点までの間に展開葉3枚あることが順調な草勢の目安です。(図参照)
  • 葉色が淡い、蕾の曲り、果形の乱れ等の症状は草勢低下の目安なので注意しましょう。

授粉・摘葉

順調な草勢2

〇摘葉の切り取り箇所

授粉

  • ズッキーニは1つの株に雄花と雌花が別々に咲く、雌雄異花同株です。
  • そのため人工授粉を行うかハチによる授粉が必要です。
  • 高温期は開花日の早朝から午前7時頃までに授粉させます。
  • 1つの雄花で5花程授粉が可能です。

摘葉

  • 摘葉は果実の下の葉2~3枚を残して葉を切り取ります。
  • 葉柄は残すことで株の倒伏防止になります。(図参照)

雄花対策

翌日が降雨予報時の雄花対策

〇雄花が開花する様子

雄花の特性

  • 13°C以下の低温が継続すると雄花の分化が行われない原因になります。
  • ハウスやトンネルを利用して気温を確保しましょう。

雄花を安定して確保する方法

  • 収穫ピーク時や草勢低下時には雄花が少なくなる場合があります。
  • 定植は7~10日間隔で3作ほどに分け、雄花を確保してください。
  • 雄花が安定して開花しやすいゼルダ・ジャッロを2~3割ほど作付しても雄花を確保できます。
  • イエロー品種の花粉で授粉しても収穫する果実はゼルダ・ネロのダークグリーンで収穫できます。

翌日が降雨予報時の対策

  • ズッキーニの雄花は必ず上を向いて咲きますので、雨が降ると花粉が濡れてしまい授粉に使えません。
  • そのため露地栽培で翌日が降雨予報の時は、花粉を濡らさないように前日に雄花を確保します。
  • 明日開花する雄花を花軸ごと摘んで花束状にし、水を入れたバケツ等に入れて屋内で保存しましょう。
  • ※蕾が黄色がかった雄花が目安です。
  • 翌朝に雄花が開花するので、圃場で開花した雌花へ人工授粉します。(図参照)
  • 柱頭が濡れていると受精できないので、授粉の際は柱頭が濡れていないか確認しながら人工授粉しましょう。

収穫

収穫適期

〇収穫適期の目安(ゼルダ・ネロ)

先細り例

×先細りの例

収穫適期を過ぎて大きくなったズッキーニ

×収穫適期を過ぎて
大きくなった
ズッキーニ

収穫の目安

  • 収穫は開花後5~7日目、果実長さ20cm程の規格サイズが目安です。(図参照)
  • 高温期は朝、夕の2回収穫します。

注意点

  • 収穫は取り残しの無いように注意しましょう。
  • 取り残した果実は大きくなるため、樹への大きな負担になり、その後の果形の乱れや着果不良に繋がります。(図参照)
  • 未受精で果実が大きくならないものや先細りの果実は早めに摘果しましょう。
  • 放置しておくと軟腐症状の原因となり収量減に繋がります。(図参照)

ズッキーニ
栽培の注意と
生理特性

栽培の注意

高温期の異常花1

×高温期の異常花の例

高温期の異常花2

×収穫適期を過ぎて大きくなったズッキーニ

高温時の注意点

一般的に夏野菜として知られるズッキーニですが、暑すぎると正常な花芽分化が行われません。
その結果、果実の形状が悪くなる、先細りするなど、収穫に影響を及ぼします。(図参照)
高温期の栽培では温度管理をして生育適温をしっかり保つことが大切です。
また摘果や収穫せずに取り残した果実は大きくなるため、樹への大きな負担になり、その後の草勢の低下や果形の乱れ、着果不良に繋がります。(図参照)

生理特性

  • 原産地:北アメリカ南部(メキシコ周辺)
  • 発芽適温:25~30°C
  • 生育適温:18~25°C
  • ※9°C以下、35°C以上では授粉能力が低下します。
  • ※35°C以上では正常な花芽分化が行われません。
  • 土壌PH:5.5~6.8
  • 開花特性:雌雄異花同株 結実には授粉媒介が必要です。
  • 収穫時期・サイズ:開花後4~7日で収穫、長さ20cmぐらいが目安
  • 摘葉:短節間のため株内がむれやすく生育中の果実の下に葉3枚残して摘み取ります。